パリトキシンとは海産毒素の1種です。生物がもつ自然毒の中では最も強い猛毒で、フグ毒とは比にはなりません。フグ毒「テトロドトキシン」の約70倍あると言われています。
発症までの時間は3~36時間とされていますが、口内に入った直後に不快な金属味を感じることが特徴です。主な症状としては横紋筋の融解に由来する激しい筋肉痛(横紋筋融解症)、筋力低下、歩行困難、尿の変色(黒褐色)、麻痺・痙攣などで、重症の場合は呼吸困難、不整脈、腎障害など、最悪死に至ることもあります。
初期症状の発症から数日で、血清クレアチンホスホキナーゼ値の急激な上昇がみられ、顔面蒼白となり虚脱死するという例もあります。回復には数日~数週間、また致死時間は十数時間から数日間と広範囲です。 早い場合の致死時間は約15分で、魚を食べ始めて尻尾を食べ終わる前に死亡することもあるいわれています。
1953 年から 2015 年にかけて長崎県、高知県、宮崎県、三重県、兵庫県、鹿児島県、愛知県で、最低40件以上のパリトキシン中毒の前例があります。
最近では、宮崎県で県内の70代女性がアオブダイの煮付けを食べ、肝臓に含まれる有毒物質パリトキシンによる食中毒で死亡した事故があります。県によると、女性は16日午後6時ごろに自宅でアオブダイを煮付けにして食べましたが、午後9時ごろに体調が悪くなり、17日午後8時ごろ病院に入院。しかし、18日午後3時半ごろ、女性が亡くなったとの報告が病院からあったということです。