魚類の中には毒を有するのもが多く存在します。
魚の毒と言われてすぐに思い浮かぶのはトラフグでしょう。
フグの仲間の多くはテトロドトキシンを代表とする強い毒を持っています。
食べると中毒を起こして死亡する場合があります。

実はトラフグ以外にも毒を持つ魚類はたくさんいます。
オニダルマオコゼやヒョウモンダコ、アオブダイやドクウツボなど。
その中でもアオブダイは、猛毒のパリトキシンと呼ばれる毒が
肝臓などに蓄積されていることがあります。

パリトキシンは海産毒素の一種で、生物が持つ自然毒の中では
最強の猛毒だと言われています。
その毒性の強さはフグ毒であるテトロドトキシンの約70倍だそうです。

日本でパリトキシンの中毒原因となる有毒種は、
ブダイ科アオブダイ属のアオブダイとハコフグ科ハコフグ属のハコフグです。
その他、ブダイ科ブダイ属のブダイ、ハコフグ科コンゴウフグ属のウミスズメ、
ハタ科マハタ属の魚類も中毒原因魚の疑いがあるとのこと。

パリトキシンは藻類からスナギンチャクに蓄積し
アオブダイ等の魚がスナギンチャクを餌として捕食することで
肝臓や消化管など体内に蓄積すると考えられています。

パリトキシンは調理等で加熱しても分解されず毒成分は煮汁等に移行します。
食べた直後に不快な金属味を感じるのが特徴です。
潜伏時間は約12時間~24時間ですが、49時間後に発症した例もあります。
主な症状は激しい筋肉痛ですが、呼吸困難や歩行困難、麻痺、痙攣
などの症状が起こる場合もあります。
嘔吐や下痢などの消化器症状は普通出現しません。
早い場合には15分程度で死に至った例もあるとのこと。

パリトキシンには解毒の方法(解毒剤)がないので
症状があった場合はすぐに医療機関に行き呼吸の確保などの処置が必要です。
腎不全などの症状をおこさなければ、呼吸循環不全を克服すれば
その後は良好に回復するということです。

パリトキシンによる中毒を防ぐ方法としては
まずはパリトキシンを摂取しないこと以外に明確な対策はありません。
パリトキシンを含む魚は見た目にもグロテスクな魚が多く
通常市場に出回る魚ではないので、釣果として食す場合には注意が必要です。